JWSTによって捉えられた様々な渦巻銀河

2月3日

 

 

 

図1 ( C ) NASA, ESA, CSA, STScI, J. Lee (STScI), T. Williams (Oxford), R. Chandar (UToledo), PHANGS Team.

ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡によって撮影された渦巻銀河・IC 5332の姿。ちょうこくしつ座方向約3000万光年離れた場所にある。中心付近に青い星が集中し、オレンジ色の渦巻腕がはっきりと写し出されている。

 

 

 

図2 ( C ) NASA, ESA, CSA, STScI, J. Lee (STScI), T. Williams (Oxford), PHANGS Team.

ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡によって撮影されたNGC 7496の姿。つる座方向約2400万光年先にある。中心付近は白く、これがだんだんオレンジ色に変化する。この場所には超巨大ブラックホールが存在すると考えられている。中心から外側にかけてS字の渦巻腕が伸びている。

 

 NASAは1月29日、ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡(以下JWST)の赤外線観測によって撮影された19もの渦巻銀河の写真を公開した(図1、2はそのうちの2枚)。これまでに撮影された写真に比べて、星やガス、塵などの様子が鮮明に写し出されている。今回の観測によって渦巻銀河における星の形成過程や銀河進化についての理解が進むことが期待されるとしている。

 

 研究チームは近傍銀河の高精度観測による物理学の理解を目指すプログラム(PHANGS)の一環として、今回は渦巻銀河の詳細な構造を理解すべく、JWSTの近赤外線観測装置・NIRCam、中間赤外線観測装置・MIRIによって渦巻銀河の撮影を行った(図1、2)。渦巻腕が赤とオレンジ色の部分で示されており、この渦巻腕を見ると、あふれるばかりの星が渦巻腕に沿って、銀河中心まで存在していることがわかる。NIRCamによる観測でこれらの写真にはそれぞれ数百万個ほどの星の姿が写し出されている。また中心付近の星は古い星であると考えられており、多くの星が集まった星団として存在する。銀河によっては、中心に超巨大ブラックホールが存在する場合もある。またMIRIによる観測では星の材料となる塵の姿を鮮明に写し出しており、赤く輝く場所では星が形成途中にあることを示している。さらに驚くべきことに、NIRCamとMIRIによる観測では星の爆発によって作られたガスや塵の姿も捉えている。

 

 写真において渦巻腕の姿が鮮明に写し出されているが、この写真をもとに銀河におけるガスや塵がどのように分布しているのか、また銀河がどのように進化してきたかや、星の形成がどのようにして止まるのかなどを研究することが可能であるとしている。また今回の写真から星形成が銀河中心において始まり、それが渦巻腕に沿って分布するようにあることは明らかである。また中心から離れれば離れるほど若い星である確率が高い。銀河中心にある青い星の集団は年老いた星からなる集団である。また図2のように銀河中心がピンク色や赤色をしており、同色の回折スパイクが出ているものは超巨大ブラックホールである可能性があるとしている。

 

 今回JWSTによる19個もの銀河の写真が公開されたが、まだ序章に過ぎず、今後さらなるデータ解析によって多くの銀河の写真が公開される予定である。すでにPHANGSデータでは10万個もの星団の様子も捉えているとしている。