天の川銀河形成初期から存在する2つの帯状に広がる星々を発見

3月24日

 

 

 

図1 ( C ) ESA/Gaia/DPAC/K. Malhan.

人工衛星Gaiaデータの解析によって新たに発見された2つの帯状に存在する星々。黄色の帯はShakti stream、青色の帯はShiva streamと名付けられた。背景には天の川銀河全体の姿(Edge on)が写る。

 

 マックスプランク宇宙研究所(ドイツ・ハイデルベルク)のKhyati Malhan氏を中心とする研究チームは21日、位置天文衛星Gaiaのデータを解析した結果、初期(およそ120億年前)の天の川銀河を構成していた2つの帯状に存在する星々を特定することに成功したと発表した(図1)。それぞれの帯はShakti、Shivaと名付けられた。天の川銀河がどのようにして形成されてきたかを研究する上で重要な資料になるとしている。

 

 天の川銀河は渦巻銀河であるが、120億年前は現在のような渦巻構造をしていたわけではない。最初はガスや塵でできたたくさんの長くて不規則な構造をするフィラメントの集まりであった。そこから徐々にたくさんの星が生まれ、現在のような姿になったと考えられている。人工衛星Gaiaはこの天の川銀河の個々の星の軌道や位置を正確に捉えており、研究者の間で盛んにデータの解析が行われている。

 

 今回研究チームがGaiaデータを解析した結果、2つのグループの帯状に存在する星々が天の川銀河中心部分付近にあることがわかり(図1)、他のグループの星と化学組成でも明確に異なっていることが判明した。さらにそれぞれの帯状に存在する星々は、太陽質量のおよそ1000万倍あることがわかり、120億~130億年前にできあがった星々であることが判明した。つまり帯状に存在する星々は銀河の渦巻腕や円盤構造ができあがる前から存在していたことになる。これらの事実から、2つのグループの星々は天の川銀河とは異なる別々の場所で形成され、初期の天の川銀河に衝突合体したことが推定されるとしている。 Khyati Malhan氏は「天の川銀河において古くから存在する2つの帯状構造を発見することができたのは驚くべきことである。天の川銀河はできあがってから大きく構造を変化させてきた経緯があるため、星々のグループ分けをすることは困難なことであると考えていた。しかし、位置天文衛星Gaiaのデータ解析によってそれが可能になった」とコメントしている。