ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた相互作用銀河Arp 72の姿

4月6日

 

 

 

写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, L. Galbany, J. Dalcanton, Dark Energy Survey/DOE/FNAL/DECam/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた相互作用銀河団・Arp 72の姿

 

 ESAは1日、ハッブル宇宙望遠鏡によって捉えられた相互作用銀河団・Arp 72の画像を公開した(写真1)。

 

 Arp 72は大きな渦巻銀河・NGC 5996(写真中央)とNGC 5994(小さな伴銀河であり、写真左下に写る)から成る。へびつかい座方向およそ1億6000万光年離れた場所にあり、それぞれの銀河の中心間距離は6万7千光年ほどの距離である。また2つの銀河間の距離は最も近いところで4万光年ほどである。この数字を見ると2つの銀河間の距離は非常に離れた場所にあると感じるかもしれないが、実は銀河間の距離間としては相互作用が起こるほどの非常に近い距離である。例えば天の川銀河と、肉眼でも確認ができる近傍銀河であるアンドロメダ銀河の間の距離はおよそ250万光年程である。また天の川銀河と伴銀河である大マゼラン雲の間の距離はおよそ16万2千光年ほどである。これらの数字と比べると、NGC 5996とNGC 5994が以下に近い場所にあるかがよくわかる。

 

 NGC 5996は天の川銀河と同程度の大きさであり、天の川銀河に大マゼラン雲という伴銀河が存在するように、NGC 5996に伴銀河が存在することは、何も驚くことではない。そしてNGC 5996はNGC 5994と相互作用を起こし、NGC 5996の渦巻構造が歪められ、渦巻腕がNGC 5994方向に伸びていることがわかる。さらにこの相互作用は「潮汐尾」と呼ばれる現象を起こす。2つの銀河が接近すると重力相互作用によって星やガスがはぎとられ、尾が伸びていくような形で現れる。写真1においてNGC 5996から右上に向かって伸びる物質が「潮汐尾」である。