9月13日

 

 

 

写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, C. Murray, J. Maíz Apellániz.

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた、大マゼラン雲内にある若い星団・N11を含む星形成領域の姿。

 

 ESAは8日、ハッブル宇宙望遠鏡(以下HST)によって撮影された大マゼラン雲内にある雲がかった若い星団・N11を含む星形成領域の姿を公開した(写真1)。写真真ん中に星団の姿があり、青色に輝く星で構成されている。星団はガス雲で覆われ、そのガス雲は星団に照らされ、青みがかった色をしている。さらに外側に星風によって吹き飛ばされた塵の塊が写っている。塵の塊の淵部分は、星団の光によって明るく写し出されている。写真は星団ができたばかりの初期の様子を捉えており、全体的に幻想的な色合いを示しているのが印象的だ。

 

 大マゼラン雲は、かじき座とテーブル山座方向約160,000光年離れた場所に位置する天の川銀河の伴銀河である。天の川銀河の質量の10~20%の質量があり、天の川銀河の伴銀河の中では一番大きい。大マゼラン雲の中には星団になりうるガス雲が何個もあり、写真1に写し出されているような姿をしている。

 

 今回HSTによって捉えられた大マゼラン雲内の星団・N11を含む星形成領域は、大マゼラン雲の中で2番目に大きい星形成領域である。真ん中に明るく輝く若い星団の姿が写り、その星団が周りのガス雲を照らし、強力な紫外線によって塵の塊をガス雲の外側に吹き飛ばしている様子がわかる。ちなみに大マゼラン雲の中で一番大きな星形成領域は有名なタランチュラ星雲であり、HSTにより頻繁に観測が行われている。

 

 今回公開された写真は、HSTの20年にわたる観測によって得られたデータを解析して得られたものである。このデータの解析によって若い星団・N11の中に太陽質量の約10%から100倍に渡る質量の星が存在することが判明した。

 

 現在HSTに搭載されたWide Field Camera 3がN11を含む星形成領域の姿を捉え続けており、特に星団を覆う塵の雲に焦点を当てており、宇宙の塵に関する新たな知見が得られることが期待されるとしている。