9月20日

画像1 ( C ) T. Pyle (Caltech, NASA's Jet Propulsion Laboratory).
白色矮星(画像左上)が強大な重力によって、周りの天体を破壊し、引き寄せているところのイメージ図。
Snehalata Sahu氏(ウォーリック大学/イギリス)を中心とする研究グループは18日、ハッブル宇宙望遠鏡(以下HST)を用いた紫外線観測により、地球から約260光年離れた場所にある白色矮星がカイパーベルト(我々の住む太陽系を囲む氷で構成されるリング)から引き寄せた断片の化学組成を調査した結果、2/3が水の氷でできており、多くの窒素が含まれることが判明したと発表した。今回の観測成果は、惑星にどのようにして水がもたらされたか、また惑星がどのように形成されたのかを理解する上で重要な手がかりになるとしている。
今回観測対象となった白色矮星の質量は太陽質量の約半分程度であるが、大きさが地球程度であるため密度が高い。この白色矮星の強大な重力によって、カイパーベルトにある氷でできた冥王星のような天体を引き寄せ、破壊すると考えられている。
今回研究チームは、白色矮星に引き寄せられるカイパーベルトの天体を調査すべく、地球から約260光年離れた場所にある白色矮星に引き寄せられた天体の断片の化学組成を調査した。その結果、水の存在の強い証拠となる炭素、硫黄、窒素、酸化物を含む揮発性物質を発見することに成功した。Sahu氏は「太陽のような星が重力によって潰れて白色矮星になった時点で、まわりの氷のような天体は外側に飛ばされていくと予想されていたものの、実際に観測を行った結果、氷の天体が残っていたことに驚いている」とコメントしている。また白色矮星に引き寄せられた天体の断片は、通常の彗星よりもサイズが大きいものであることが判明した。
太陽は数十億年後に燃え尽き、重力崩壊をして白色矮星になると考えられている。今回の観測結果は、太陽の未来を見ているといっても過言ではない。
今後研究チームは、この白色矮星についてジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡による赤外線観測を行い、水蒸気のような揮発性物質の観測を行う予定である。この研究を続けることで惑星の形成過程を理解し、惑星にどのように水がもたらされるのかについて理解する手助けになることが期待されるとしている。