10月4日

写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, A. Filippenko Acknowledgement: M. H. Özsaraç.
ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された渦巻銀河・NGC 6000の姿。
ESAは9月29日、ハッブル宇宙望遠鏡(以下HST)によって撮影された、さそり座方向約1億200万光年先にある渦巻銀河・NGC 6000の写真を公開した(写真1)。中心部分は黄金色に輝いており、古い星が多くあることを示している。その外側の部分は、青色に輝いており、若い星や星団などで構成されていることを示している。中心部分と外側の部分が明確に色分けされており、とても美しい姿をしているのが印象的である。
NGC 6000における中心部分と外側の部分の色の違いは、星の年齢、質量、温度を反映している。中心部分にある星は古く、質量の小さな星が集まっている。このような質量の小さな星は外側の部分に比べて比較的温度が低く、赤みを帯びた色になる。逆に銀河の外側の部分は比較的質量が大きく、温度が高いため青みを帯びる。特に写真1を見ると、青みを帯びた領域の中に、斑点状に写る独特の青みを帯びた部分があるが、ここには若くて質量の大きな星団が存在する。
今回HSTによって撮影された写真は、2007と2010年に起きた超新星(それぞれSN 2007ch、SN 2010asと名付けられている)を調査した際に得られたデータを再現してできたものである。HSTは、自身の持つ高性能な検知器によって超新星が起きた後の超新星残骸から放たれるかすかな光を捉えることが可能であり、超新星を起こす星の元の質量や伴星を持つかどうかを決定するための貴重なデータを提供した。
またNGC 6000の右側を見ると、黄色と青い線が走っているのがわかる。これは銀河を周回する小惑星の通った軌跡である。4つの線で色が異なっているのは、異なる観測期間において異なる波長帯の観測を行ったためである。