10月18日

 

 

 

写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, R. Chandar, J. Lee and the PHANGS-HST team.

ハッブル宇宙望遠鏡等によって撮影された活動銀河・NGC 7496の姿。

 

 ESAは13日、ハッブル宇宙望遠鏡(以下HST)やアルマ望遠鏡、ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡(以下JWST)によって撮影された、つる座方向約2,400万光年離れた場所にある渦巻銀河・NGC 7496の姿を公開した(写真1)。銀河中心には超巨大ブラックホールが存在し、ガスを吸収することによって多くの重力エネルギーが放出され、明るく輝いている。このような明るく輝く場所は活動銀河核と呼ばれ、活動銀河核を持つ銀河は活動銀河と呼ばれる。中心には黄色っぽい光をした棒状構造が存在し、その端から渦巻腕が伸びている。渦巻腕中にはJWSTが捉えた赤褐色を帯びた塵の様子も写っている。銀河全体が右方向に引き伸ばされているのが印象的である。

 

 NGC 7496は、かつて2022年にもHSTによって撮影された写真が公開されたが、今回公開された写真は、PHANGSと呼ばれるプログラムの一環として行われた観測のデータを解析したものである。このプログラムは、銀河中の活動銀河核や塵の雲、星形成を研究することを目的とし、波長の長い電波から波長の短い紫外線まで広範囲に渡る波長帯によって観測が行われた。この観測を行う上でアルマ望遠鏡やJWSTの協力も得ている。今回のプログラムで特徴的なことは、水素ガスが放出された領域が赤い雲(写真1ではピンク色の領域)で示され、超新星爆発が起きた後の星の残骸や、そこから新たに生まれる星の様子を確認することが可能となったことである。

 

 写真1を見ると渦巻腕中にピンク色の領域が多数存在し、ここに若い星団が存在することを示している。この星団を解析することで、星団に含まれる若い星の年齢や質量を特定することにつながるとしている。