2016年12月11日(日)

 

 12月11日、船橋中央公民館においてJAXAで宇宙飛翔工学の研究をしている西山和孝教授がロケット打ち上げに使われるイオンエンジン、はやぶさ、はやぶさ2及び今後のイオンエンジンの活用方法について講演を行った。

 

 内容は以下の通り。

 

1. イオンエンジンの仕組み

 

 イオンエンジンとは、ロケットの中に推進剤としてキセノンガスを入れ、外部から電気のエネルギーを加えてプラスイオンの流れを作り出し、イオンビームを発射させて噴射するエンジンのことである。電気エネルギーは電子レンジと似た電波であり、30W程度の電源で電気エネルギーを与えている。またロケットの中には永久磁石が並んでいて、このようなちょうど良い電波を与えることでキセノンガスを高温状態にし、プラズマ状態にする。プラズマ状態とは、固体、液体、気体のもう一つ上の段階である。キセノンガスの利用量は1分間でわずか3立方cmである。

 

 イオンエンジンでの噴射速度は30km/sであり、従来のHⅡA、HⅡBロケットの4km/sと比べてはるかに早い速度を生み出すことに成功している。従来のエンジンは燃料の化学変化(燃焼や分解)により高温ガスを生み出し、噴射するタイプである。そもそもロケットの打ち上げには、ロケットから何かを捨てだし、その反動推進により上にどんどん上っていく。効率よく噴射することに成功したことだとも言える。

 

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