4月23日

 

 JAXAは17日、JICA(国際協力機構)と共同で開発したJJ-FAST(熱帯林早期警戒システム)が、 ブラジルの違法伐採の摘発に貢献したと発表した。

 JJ-FASTは、JAXAの陸域観測技術衛星2号「だいち2号」の観測データを用いて 森林減少状況をモニタリングするシステムであり、現在は世界77ヵ国で利用されている。 だいち2号に搭載されているPALSAR-2は、電波を地表面に照射し、地表面から反射される電波を受信することで情報を得る、合成開口レーダ(SAR)と呼ばれるセンサである。SARは太陽などの発光源に依存しないため、昼夜を問わず観測できるのが特長。また、PALSAR-2が送受信するLバンドと呼ばれるマイクロ波帯(1.2GHz帯)の電波は雲や雨の影響を受けにくく、天候によらず観測できるため災害などの迅速な観測に適している。さらにLバンドのマイクロ波は、透過性が高いことから電波が植生を透過して一部が地面まで届くため、植生や地表についての情報も得られる。

 

 JJ-FASTチームは、森林減少の検出精度を高めるために森林伐採検出アルゴリズムを開発しているが、 その検証のために2月22日にブラジル政府機関「環境再生可能天然資源院(IBAMA)」とともに、 森林減少を検知した場所に訪れたところ、違法伐採の現場を発見し、IBAMAがその現場を取り押さえた。 また、2月26日に他の検知場所も訪れたところ、同様に違法伐採の現場を発見したとしている。今回の調査時期である2月は、雨季で上空が雲で覆われている日が多かったため、 光学衛星では雲下の伐採状況の監視が困難であったが、レーダ衛星の「だいち2号」は雲を透過して観測が可能なため、 森林伐採の検知に成功した。

 JAXAは引き続きJICAとともにJJ-FASTの検出精度を高め、森林減少の抑制と気候変動対策に貢献していくと、今後の抱負を述べている。

 

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