ここでは球状星団における速度空間を考えることで見えてくる物理的構造について考えていきます。きょしちょう座47球状星団(NGC104)を例にとって考えていきます。

 

NGC104は南天からみえる球状星団ですが、天文衛星Gaiaによって、固有運動、視線速度、位置の精密なデータが得られています。実際にGaia archiveからデータをとってきて、NGC104まわりの固有運動のデータをプロットすると以下のようになります。

 

 

 

2つの密度の濃い部分があることがわかります(左の小さい塊と右の大きな塊)。GaiaのNGC104まわりの固有運動のデータをプロットすると、NGC104以外の背景の星の固有運動までプロットされてしまうため、背景の星のデータをカットする必要があります。球状星団ではそれぞれ特有の固有運動が存在し、この特定の固有運動でフィルターをかけることによって、背景の星のデータを削除します。今回は赤経方向の固有運動を4.5~6mas/y(1年あたりの移動距離(ミリ秒角))、赤緯方向の固有運動を-3.3~-1.8mas/yでフィルターをかけました。その星々をプロットしたものは以下のようになります。

 

 

この図では他にもGバンドの絶対等級が10~17という制限がかかっています。これらのデータの中で大部分を占めている年周視差が0.1~0.3であるため、その制限もかかっています。

 

そしてここからが本題ですが、NGCの中心からの距離に対する、視線速度と接線速度の速度分散をプロットしたもの、また視線速度と接線速度を速度空間としてプロットしたものは以下のようになります。

 

 

中心からの距離に対する視線方向速度の速度分散。横軸はlogscaleの角距離(分角)。

 

 

中心からの距離に対する接線方向速度の速度分散。横軸はlogscaleの角距離(分角)。

 

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