角運動量輸送

 

このアニメーションは、ρ=exp(-ω_i*t)*cos(0.5*k*r^2+ω_r*t-2*θ)・・・(1)という式を時間を少し進めたときの、角度θと中心からの距離rに対する密度振動ρ(本来の密度からずれ)の変化分とプラマーモデルを基にした密度関数を足し合わせて、等高線をアニメーションにしたものです。渦巻銀河は密度振動を経て渦を巻いていることが示唆されています。振動数ωは複素数であり、ω_r+ω_i*iと表されます。式の中のr^2はrの2乗であり、ばねポテンシャルです。

 

 

このアニメーションは(1)式の密度変動分の等高線をアニメーション化したものです。密度振動のスパイラルパターンが回転しながら、密度振動の強さを表す色が濃くなっている様子がわかりますね。ちなみに(1)式は流体力学の運動方程式、連続の式、ポアソン方程式から導かれます。また密度振動の式はポテンシャルのずれの式と関わっており、ポテンシャルのずれは本来の重力ポテンシャル(プラマーモデルなど)からのずれ(摂動)がどのように表されるかを考えることで、求めることができます。この密度振動が起きると、回転する天体のスパイラル構造ができあがり、回転体中心からの角運動量が回転体中心から外側に波として輸送されるということがわかっています(Kalnajs & Lynden-Bell 1972年の論文を参照)。つまりポテンシャルのずれが密度振動を起こし、渦巻構造を作ることで、角運動量が回転体の中心から外側にかけて輸送されるということです。

 

今回作成したアニメーションはPythonのmatplotlibのArtistanimationというモジュールを用いて作成しました。Artistanimationを使うことでデータを別のファイルに書き出したり、別のファイルから読み込むなどの動作が必要なく、効率よくアニメーションを作成することができます。

 

具体的に角運動量が輸送されるとどのようにして回転体の中の物質が運動していくかのアニメーションは次のページをご覧ください。

 

渦巻構造